雑念

なんと妙なことになってしまったのだろう、いつの間にか実際に一度も会ったことのない人の仕事を何度もさせていただいている。絵の仕事もネットを媒介にしてされるようになり、注文依頼されるときも、打ち合わせもラフスケッチなどの下図を添付しての電子メールでやり取りしている。絵の納品もデータとして送信し、ギャラもネットバンキングで受け取り、近年では依頼主と会ったりすることも無くなりネットがあれば田舎暮らしでも構わなくなった。

こうなると従来のように展覧会などでキャンバスに絵の具描きで描いたアナログのタブローを売るのではなく、デジタルで描いた絵のデータを売るという方式を更に展開したいという心境になる。というのも顧客に期間内に展覧会場へご足労を願うのも恐縮であり、有体物としての絵画は保管や運送が不便だ。データの方は劣化することもなく場所もとらずに保管でき、どこへも瞬時に電送でき、しかも経済的だ。具体的にはデジタル絵制作の複製絵画でロイヤリティを得たビジネスとなるが、未来の美術は電子書籍のようなデジタルアートとなり、タブローは骨董品となるのだろうか。

今は情報公開は盛んで、ネットに発表した作品の画像データは膨大な数のサイトやブログとSNSなどに拡散されて増殖し、そのデータは消えず投稿者の作家が亡くなった後もネットに保存され続ける。その作品は誰もが見る事のできるオープンなデジタルアートになるが、良くも悪くもネットに匿名性はなくアーチストというのは自己表現の露出狂で心の中身をさらけ出してしまう。それだけに未来のために創作し、人を傷つけないように留意しなければならない。

そのようなことを夢想しながら修行者の座禅のように座り続け、自分ができることを淡々と行いながら毎日絵を描き続けている。もっと心を絵に集中して雑念を払い全ての執着を捨て無心になることができれば落ち着いた幸福感に満たされるだろうと思いながら。

完成に近づいた制作中の絵。(The picture during paint approaching completion.)

2014.2.26

2014.2.26,Copyright(C)2014 AoiFujimoto. All Rights Reserved.

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aoifujimoto について

1947年石川県金沢市生れ。69年平凡パンチ誌で8Pのイラストレーション作品掲載。73年芸術生活社の月刊芸術生活誌目次絵12点連載。75年に澁澤龍彦著東西不思議物語毎日新聞イラスト連載。87年集英社文庫カバー血の本シリーズイラスト連載。97年画文集怪物伝説白夜書房刊。02年富里市制記念親子馬の銅像デザイン制作。10年富里市案内板と27回トミサトスイカロードレースTシャツのイラストデザイン制作。個展13回。
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