魔女の一撃

なんでもない日常での唐突な不幸というか、それはH氏から依頼された連続のイラストを夢中で描いている途中に起きてしまった。その前から風邪気味だったのか秋の花粉症の鼻炎なのか睡眠不足で何となく頭痛がしていたが、忙しいと体調のことなどには構っていられなくなり猪突猛進でイライラとイラストを描きストレスをためていたのかも知れない。

例のごとく家にこもりパソコンの前に座りっぱなしの毎日で、時々買い物に出かけることが気分転換になっているが、それとて日常の足がクルマなのでシートに座りっぱなしで運動にはならない。先月のハロウィン前日にパソコンモニターを凝視しながらペンタブレットでイラストを描いていると描いた覚えのない点描などが気になった。よく見るとそれはブルーライト軽減のパソコンメガネに付着したゴミだった。そのメガネを洗面所で洗おうと椅子から立ち上がった瞬間にハロウィンの魔女の一撃を食らってしまった。

フロアーに転がり動物のナマケモノのようにガクガクと震えながら這っていると、かぼそい悲鳴を聞きつけた妻が体温計を私の脇に差込み、その電子音が鳴った後で「低体温症だわ」とつぶやいた。即座に私のシャツをめくり腰に携帯用カイロをペタペタと二枚ほど貼ってくれ、私はそのまま仕事を中断してベッドに横たわり安静にしているしかなかった。ギックリ腰はこれで三度目くらいで、一番最初の時は観賞用ゴムの木の大きな植木鉢を抱えて運ぼうとした数年前に初体験し、自分の身体が壊れてしまったのかと絶望的な不安感に襲われたが、数日後に自然と回復してしまったので、五十肩になった時のような加齢の不可解さに情けない気分だった。

ギックリ腰になった当日は最悪で、トイレに行こうとしても自由に自分の身体を動かすことができず、ずり落ちるスライムのようにベッドから脱出し、腰に負荷がかからないように両膝に両手をついて竹馬のように両足を徐々に進めて戦々恐々として歩行するありさま。便器の蓋を持ち上げようとすると息が止まりそうな激痛に倒れそうになる。1日寝て暮らした翌日は頭痛も去り気分は上々だが、油断するとギックリ腰は落雷のようにいつでも直撃を狙っているよう。

あれから数日してだいぶん回復してきた。ギックリ腰のためにイラスト制作進行が遅れると知らせたH氏から、ブログの更新も止っているし、それならいっそブログにそのことを書いてみたら? もしかしたら読者の方から、ギックリ腰の直し方やいい養生法を教えてもらえるかもしれないよ、と私のことを慮るメールがあった。それでこの数日を振り返ってみたが、慢性的な運動不足が災いして若い頃のようには無理が利かなくなったようだ。ギックリ腰は自分の身体が限界に達した無言の警告なのだと再認識せざるをえない。座り仕事だけを続けないように、ペットの世話や日常生活の雑事を楽しみながらもっと健康第一に生きなければと痛感した。
2014.11.05

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aoifujimoto について

1947年石川県金沢市生れ。69年平凡パンチ誌で8Pのイラストレーション作品掲載。73年芸術生活社の月刊芸術生活誌目次絵12点連載。75年に澁澤龍彦著東西不思議物語毎日新聞イラスト連載。87年集英社文庫カバー血の本シリーズイラスト連載。97年画文集怪物伝説白夜書房刊。02年富里市制記念親子馬の銅像デザイン制作。10年富里市案内板と27回トミサトスイカロードレースTシャツのイラストデザイン制作。個展13回。
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